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Atg16L-Rab複合体による隔離膜形成機構の解明

写真:福田光則

東北大学 大学院生命科学研究科
膜輸送機構解析分野 教授
福田 光則

オートファジーは真核生物に普遍的に見られる生理現象で、ユビキチン・プロテアソーム経路とは異なるタイプの蛋白質分解経路として近年注目を集めています。オートファジーは、二重膜構造を持つ隔離膜が伸長し、細胞質やオルガネラなどをとり囲み、ここにリソソームが融合することにより内容物が消化・分解されます。オートファジーは非常にダイナミックな膜輸送過程が伴うにも関わらず、隔離膜やオートファゴソームの膜の由来(どのオルガネラから供給されるのか)は全く分かっていません。さらに驚くべきことに、既存のオートファジーに関与する遺伝子(ATG)には膜輸送を直接制御するタンパク質(SNARE、Rabなど)が一つも含まれていません。当研究室では、最近開発した「Rabを網羅的に解析するツール」を用い、全てのRabに対するエフェクター分子を網羅的に探索したところ、ある種のRab(以下RabAtg16Lと略)が隔離膜の伸長に必須の役割を果たすAtg16LとGTP依存的に結合することを見いだしました。Atg16Lは同じく隔離膜の伸長に重要なAtg5-12と複合体を形成することが知られていますが、それ自身の役割は未だ解明されていません。そこで本研究では、Atg16LのRabエフェクターとしての機能と、Atg16L-RabAtg16L複合体のオートファジー(特に隔離膜伸長)における役割を解明することを目指しています。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Kuroda, T. S. & Fukuda, M. (2004) Rab27A-binding protein Slp2-a is required for peripheral melanosome distribution and elongated cell shape in melanocytes. Nature Cell Biol. 6,1195-1203
  2. Tsuboi, T. & Fukuda, M. (2006) The Slp4-a linker domain controls exocytosis through interaction with Munc18-1・syntaxin-1a complex. Mol. Biol. Cell 17, 2101-2112
  3. Itoh, T. & Fukuda, M. (2006) Identification of EPI64 as a GTPase-activating protein specific for Rab27A. J. Biol. Chem. 281, 31823-31831

ひと言!

当研究室では、膜輸送を司る低分子量G蛋白質Rabの機能に興味を持って研究を行っています。マウスに存在する60種類のRabに対する様々な解析ツールをこれまでに作成していますので、ご興味のある方はお気軽にお声をおかけ下さい。

Web page

http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/teacher/neuro/t_fukuda.html

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