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順天堂大学 医学部
脳神経内科 教授
服部 信孝
パーキンソン病 (PD) の病理学的特徴にレビー小体形成がある。その出現部位は、黒質のみならず認知症を来す場合は、大脳皮質にも及ぶ。PDの研究では、この細胞質内封入体形成のメカニズム解明が重要な鍵となっている。このような封入体は、PDのみならず他の神経変性疾患でも観察され、神経変性疾患の共通機構に蛋白凝集機構と選択的細胞死の関連性が指摘されている。PDの殆どは遺伝歴のない孤発型であるが、近年の分子生物学の進歩により単一遺伝子異常で発症する遺伝性PDの存在が注目され、単一遺伝子異常の発症機序の解明から黒質神経変性のメカニズム解明へのアプローチが盛んに行われている。事実、我々が単離・同定したPark2の原因遺伝子parkinはユビキチン・プロテアソーム系の重要な分子リガーゼであることが判明している。興味深いことにこの分子の破綻で発症するPDでは、先の封入体レビー小体が一般に観察されない。また最近単離・同定されたPark9の原因遺伝子ATP13A2は、lysosomeにあってlysosomal-autophagy systemに関連していることが推定される。本研究課題では、ユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー系に焦点を当てて封入体形成と神経細胞死について検討する。計画としては、レビー小体の主要構成蛋白であるa-synucleinと蛋白分解系に注目し検討する。またATP13A2 KO miceの作成を行い、組織学的、行動学的検討を行う。
臨床医でもありますが、bench to Bed or Bed to benchを目指して神経難病を克服できるような研究成果を発表したいと思います。宜しくお願いします。