脱ユビキチン化酵素AMSH、AMSH-LPによるタンパク質分解機構の解明
東北大学 大学院医学系研究科
免疫学分野 准教授
石井 直人
生体を構成するタンパク質は細胞内でそれぞれ固有の寿命を有しており、その寿命は主にユビキチン修飾過程と、それに連続するプロテアソームあるいはライソソームでの分解過程によって制御される。申請者は、脱ユビキチン化酵素AMSHの遺伝子欠損マウスを作製・解析したところ同マウスが神経変性疾患を発症することを見出した。さらに、AMSH欠損マウスの変性神経細胞内にユビキチン化タンパクが蓄積することを見出した。これらの事実は、脱ユビキチン化酵素AMSHが、基質タンパク質のタンパク分解を制御することにより、神経細胞生存・維持に重要な役割を担っていることを示唆する。また、申請者はAMSHのファミリー分子AMSH-LPを遺伝子単離し、AMSH-LPがAMSHと同等の脱ユビキチン化酵素活性を有することを見出した。AMSHとAMSH-LPはともに神経細胞に発現しており、両者が相補的に機能し、神経細胞における脱ユビキチン化反応を担っている可能性が考えられる。そこで本研究では、脱ユビキチン化反応と神経変性疾患の関連性を解明する上で有用な動物モデルであるAMSH欠損マウスを用いて、脱ユビキチン化酵素AMSH、AMSH-LPのユビキチン化タンパク質分解制御機構の解明を目指す。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Kyuuma M, Kikuchi K, Kojima K, Sugawara Y, Sato M, Mano N, Goto J, Takeshita T, Yamamoto A, Sugamura K, and Tanaka N.: AMSH, an ESCRT-III associated enzyme, deubiquitinates cargo on MVB/late endosomes. Cell Struct Funct. 31: 159-172, 2007.
- Toyoshima M, Tanaka N, Aoki J, Tanaka Y, Murata K, Kyuuma M, Kobayashi H, Ishii N, Yaegashi N, and Sugamura K.: Inhibition of tumor growth and metastasis by depletion of vesicular sorting protein Hrs: its regulatory role on E-cadherin and β-catenin.
Cancer Res. 67: 5162-5171, 2007.
- Ishii N, Owada Y, Yamada M, Miura S, Murata K, Asao H, Kondo H, and Sugamura K.: Loss of neurons in the hippocampus and cerebral cortex of AMSH-deficient mice.
Mol Cell Biol. 21: 8626-8637, 2001.
ひと言!
タンパク質分解についてはほとんど素人ですので、本領域の先生方のお力をお借りして本研究をやり遂げたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
Web page
http://www.med.tohoku.ac.jp/~immunol/index.html
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