COP1-CUL4-CSN制御系による哺乳類細胞増殖とチェックポイント調節の理解
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科
動物分子遺伝学講座 教授
加藤 順也
COP1は癌抑制蛋白質p53の分解制御に、Cul4複合体はヌクレオチド除去修復とDNA複製のライセンシング制御に重要な働きをするユビキチンリガーゼである。本研究ではこれらの上流で働く調節因子COP9シグナロソーム(CSN)を含めた、COP1-Cul4-CSN制御系に着目し、この制御系の中で、まったく異なったユビキチンリガーゼ間のクロストークを検証し、細胞周期制御とチェックポイント制御における機能を解明する。(1)CSNとCOP1の関係と、(2) CSNによるCul4複合体の活性制御には特に留意する。CSNとCOP1の新規相互作用因子を単離し、この両因子間の分子ギャップを埋めるとともに、CSNのサブユニット(CSN5、CSN2、CSN3)のノックアウトマウスとノックアウト細胞を実験材料として用い、マウスモデルを用いてCSNによるCul4複合体の活性制御を検証する。
本研究では以下の2点について研究を進める。
(1)CSN3−COP1経路の解析
CSN3−COP1間の分子ギャップを埋め、DNA損傷や細胞周期進行の各時期における複合体の動態を調べるために、CSN3とCOP1の新規相互作用因子を単離する。
(2)CSN−Cul4経路の解析
CSNサブユニット(CSN5、CSN2、CSN3)の遺伝子改変マウスを実験材料として初代培養細胞系や動物個体において、CSNによるCul4複合体の活性制御を調べる。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Yoneda-Kato, N. and Kato, J.Y. Shuttling imbalance of MLF1 results in p53 instability and increases susceptibility to oncogenic transformation. Mol Cell Biol, 2007, in press
- Yoneda-Kato, N., Tomoda, K., Umehara, M., Arata, Y., and Kato, J. Y.. Myeloid leukemia factor 1 regulates p53 by suppressing COP1 via COP9 signalosome subunit 3. EMBO J. 24: 1739-1749, 2005.
- Tomoda, K., Yoneda-Kato, N., Fukumoto, A., Yamanaka, S., and Kato, J. Y. Multiple functions of Jab1 are required for early embryonic development and growth potential in mice. J. Biol. Chem., 279: 43013-43018, 2004.
Web page
http://bsw3.aist-nara.ac.jp/kato/kato.html
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