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聖マリアンナ医科大学 医学部
乳腺・内分泌外科 准教授
太田 智彦
研究代表者らは2001年に乳癌および卵巣癌抑制遺伝子産物であるBRCA1がBARD1とRING二量体型のユビキチンリガーゼ(E3)を形成することを発見し、このE3活性の生物学的意義を明らかにするため、活性を制御する上流のシグナルと基質を含めた下流のカスケードを解析してきた。本研究ではBRCA1による基質のユビキチン化が持つ生物学的な意義を解析し、この活性がどの様にゲノム安定性維持と乳癌の抑制に寄与しているかを明らかにし、BRCA1カスケードを標的とした抗癌剤の創薬、あるいは抗癌剤感受性予測因子の開発に繋げることを目的とする。具体的には以下の点を重点的に解析する。(1)DNA損傷初期応答におけるBRCA1-BARD1によるRPB8およびγH2AXのLys-63連結型Poly-Ub化。初期応答におけるUb化には複数のE2が関わっている可能性があり、基質との組み合わせによってもLys-63連結型とLys-48連結型が使い分けられている可能性がある。(2)次にUIMドメインによってこのPoly-Ubを認識するRAP80によるさらなるABRA1-BRCA1-BARD1の損傷部位への移送とUbcH5によるヌクレオフォスミン(NPM1/B23)のLys-6連結型Poly-Ub化。NPM1のUb化によるヒストンシャペロン活性の変化とクロマチン修飾。(3)RAP80-ABRA1-BRCA1-BARD1と伴に損傷部位に移送される脱ユビキチン化酵素の役割。(4)CDC45のUb化によるS期チェックポイント機構の制御。
ユビキチンと癌の関係に興味を持って研究をしております。宜しくお願い申し上げます。