カルパインの脳神経系における生理機能と病理作用
独立行政法人理化学研究所
脳科学総合研究センター
神経蛋白制御研究チーム
チームリーダー
西道 隆臣
本研究ではカルパインの脳神経系における生理機能と病理作用を明らかにすることを目的とする。生理機能においては、神経可塑性への関与を検討し、病理作用においては、脳虚血や神経変成疾患との関係を明確にする。
1.神経可塑性におけるカルパインカルパスタチン系の役割
カルパインカルパスタチン系の遺伝子改変マウス(カルパスタチン欠損マウス・カルパスタチン過剰発現マウス・μ-カルパイン欠損マウス・m-カルパインコンディショナル欠損マウス)を用いて、長期増強およびカルパイン活性化を測定し、カルパインカルパスタチン系の神経可塑性への関与を検討する。
2.脳虚血および神経変成疾患におけるカルパインカルパスタチン系の病理作用
上述の遺伝子改変マウスを用い、疾患におけるカルパインの関与を明らかにする。具体的には、遺伝子改変マウスを、脳虚血や脊髄損傷などの侵襲に曝し、ワイルドタイプマウスと比較するというパラダイム、および、様々の疾患モデル(パーキンソン病・レビー小体病・ポリグルタミン病等)と遺伝子改変マウスを交配し表現系の変化を見るというパラダイムで検討する。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Takano, J., Tomioka, M., Tsubuki, S., Higuchi, M., Iwata, N. Itohara, S., Maki, M., Saido, T.C. (2005). Calpain mediates excitotoxic DNA fragmentation via mitochondrial pathways: evidence from calpastatin-mutant mice. J. Biol. Chem., 280, 16175-16184.
- Higuchi, M., Tomioka, M., Takano, J., Shirotani, K., Iwata, N., Masumoto, H., Maki, M., Itohara, S., Saido, T.C. (2005). Distinct mechanistic roles of calpain and caspase activation in neurodegeneration as revealed in mice over-expressing their specific inhibitors. J. Biol. Chem., 280, 15229-15237
- Yamashima, T., Tonchev, A.B., Tsukada, T., Saido, T.C., Imajoh-Ohmi, S., Momoi, T., Kominami, E. (2003). Sustained calpain activation associated with lysosomal rapture executes necrosis of the postischemic CA1 neurons in primates. Hippocampus, 13, 791-800.
Web page
http://www.brain.riken.go.jp/bsi/t_saido.html
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