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膜結合型ATP依存性メタロプロテアーゼFtsHの一分子解析

写真:寿野良二

東京工業大学 資源化学研究所
R1-7 研究員
寿野 良二

FtsHやプロテアソームなどのATP依存性プロテアーゼの研究において、未解決で本質的な疑問は「いったいどのようにして基質を連続的に内部に送り込んでいるのか?」と言うことである。この問題を理解するためにはまずFtsHの構造を知ることがその後の研究の基盤となる。われわれはこれまでX線結晶構造解析によりFtsHの細胞質ドメインの構造を決定した(図)。得られた構造情報によって、FtsHはATPを加水分解しながらダイナミックな構造変化を起こし、それに伴って基質をとりこむと考えられた。そこで本研究ではFtsHの基質とりこみ機構に着目して詳細に調べる。実際には(1)構造情報を元にしたFtsHの基質とりこみ機構の生化学的解析と、(2)FtsHの反応ステップの一分子解析を行う。FtsHの基質送りこみ機構に重要な基質結合部位や基質の通る径路と考えられる領域について様々な変異体解析を行うことにより上述の疑問に答えたい。また、一分子解析の実験系を立ち上げ、多分子系では平均化されて見えない反応ステップの解析などFtsHの詳細な分子機構を解明したい。X線結晶構造解析についても、様々なヌクレオチド結合状態での結晶構造解析に取り組んでいる。このように生化学や一分子観察、構造生物学といった多角的視点からFtsHの分子メカニズムの解明を行う。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. ○Ryoji Suno, Hajime Niwa, Daisuke Tsuchiya, Xiaodong Zhang, Masasuke Yoshida, and Kosuke Morikawa. “Structure of whole cytosolic region of ATP-dependent protease FtsH.” Mol. Cell , 22, pp575-585, 2006.

Web page

http://www.res.titech.ac.jp/~seibutu/home.html

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