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出芽酵母を用いたオートファジーの分子機構解析

写真:鈴木邦律

基礎生物学研究所
分子細胞生物学研究部門 助教
鈴木 邦律

我々は出芽酵母を材料にしてオートファジーの研究を進めている。オートファジーのプロセスの中心を担うのはオートファゴソーム(以下AP)と呼ばれる脂質二重層の二重膜で区画化されたオルガネラである。形成されたAPは細胞内分解コンパートメントである液胞/リソソームと融合し、内容物ごと分解される。オートファジーは基本的に非選択的であり、APは形成される過程で周辺の細胞質成分を無差別に取り込むと考えられてきた。

出芽酵母にはCvt経路と呼ばれる液胞への輸送経路が知られている。これまで、アミノペプチダーゼIとα−マンノシダーゼの2つの液胞加水分解酵素が積荷タンパク質として同定されている。面白いことにAP形成に必要な遺伝子の大部分がCvt経路に必須である。そのため、Cvt経路は選択的オートファジーという視点から解析されるようになってきた。我々は選択的なオートファジーに注目した解析を進め、新たな積荷タンパク質と受容タンパク質を見いだした。目下この輸送の生理学的意義を解析中である。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Suzuki, K. et al. (2001) The pre-autophagosomal structure organized by concerted functions of APG genes is essential for autophagosome formation. EMBO J, 20, 5971-5981.
  2. Suzuki, K. et al. (2002) Studies of cargo delivery to the vacuole mediated by autophagosomes in Saccharomyces cerevisiae. Dev. Cell, 3, 815-824.
  3. Suzuki, K. et al. (2007) Hierarchy of Atg proteins in pre-autophagosomal structure organization. Genes Cells, 12, 209-218.

ひと言!

最近の出芽酵母のオートファジー研究は、タンパク質分解の機構とその生理学的意義という視点がやや薄らいでいる印象があります。本特定領域研究では初心に戻ってタンパク質分解をしっかり勉強していきたいと思っています。

Web page

http://www.nibb.ac.jp/~enehen

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