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分裂酵母の自食作用による液胞の蛋白分解機構と液胞内アミノ酸の生理的役割の解明

写真:竹川薫

香川大学 農学部
応用生物科学科 教授
竹川 薫

我々が研究に用いている分裂酵母Schizosaccharomyces pombeは菌体を窒素飢餓などの栄養飢餓条件にさらすと数時間で減数分裂→胞子形成を行なうため、このプロセスを解析するためには出芽酵母よりも良い実験材料である。分裂酵母のゲノムからATG遺伝子と相同性の高い遺伝子を選び、これらの破壊株を作製した。分裂酵母のオートファジー欠損株(atg破壊株)の解析により、atg破壊株はアミノ酸要求性のない株を実験に用いた時には胞子形成に欠損を示すが、約30%の細胞は正常に胞子形成を行うことを見出した。この結果から、分裂酵母においてオートファジーにより細胞質のタンパク質が液胞へ輸送・分解後に得られるアミノ酸が、実際にどの程度分裂酵母の胞子形成過程に必要であるか明らかにしたいと考えた。本研究では窒素飢餓時における分裂酵母の液胞内でのタンパク質分解とアミノ酸の細胞質への排出機構、さらに胞子形成に利用されるアミノ酸の合成機構について検討を行ない、広く真核生物の栄養飢餓認識機構及び栄養飢餓条件におけるオートファジーの生理的役割について解析を行う予定である。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Iwaki, T., Onishi, M., Ikeuchi, M., Kita, A., Sugiura, R., Giga-Hama, Y., Fukui, Y., and Takegawa, K.:Essential roles of class E Vps proteins for sorting into multivesicular bodies in Schizosaccharomyces pombe. Microbiology 153, 2753-2764 (2007).
  2. Iwaki, T., Hosomi, A., Tokudomi, S., Kusunoki, Y., Fujita, Y., Giga-Hama, Y., Tanaka, N., and Takegawa, K.: Vacuolar protein sorting receptor in Schizosaccharomyces pombe. Microbiology 152, 1523-1532 (2006).
  3. Takegawa, K., Iwaki, T., Fujita, Y., Morita, T., Hosomi, A., and Tanaka, N.: Vesicle-mediated protein trasnport pathways to the vacuole in Schizosaccharomyces pombe. Cell Struct. Funct. 28, 399-417 (2003).

ひと言!

真核細胞の細胞質にオートファジーによりリソソーム(液胞)内で分解されて利用されるために作られたタンパク質(オートファジーの基質?)があればおもしろいなと考えています。研究内容が非常に多岐に渡る本特定領域研究班で勉強する機会を与えていただき、ありがとうございます。

Web page

http://www.ag.kagawa-u.ac.jp/takegawa/index.htm

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