新規ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLの機能解析
東京薬科大学 生命科学部
分子生化学研究室 教授
柳 茂
私たちは新規膜型ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLの同定に成功した (Yonashiro et al. EMBO J. 2006)。私たちはMITOLがミトコンドリア分裂因子を基質にしてミトコンドリアダイナミクスを調節していることを報告したが、その後の解析によってMITOLがミトコンドリア分裂因子の制御にとどまらず、様々な役割をしている可能性が示唆されている。MITOLの機能を解明することにより、ミトコンドリアの蛋白質分解機構において新しい分子メカニズムが見つかるかもしれない。
(本年度の研究実施計画)
- MITOLによるミトコンドリア品質管理機構の解析
ミトコンドリア変性蛋白質を細胞に人為的に発現させて、MITOLによるユビキチン化と分解促進活性を検討する。ミトコンドリアに蓄積する変性蛋白質としてポリグルタミン変性蛋白質や筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子であるmutant SOD1を用いる。
- MITOL欠損細胞の樹立とMITOLの生理的基質の探索
ニワトリB細胞株DT40を用いてMITOL欠損細胞を樹立して、MITOLの役割を明らかにする。さらにMITOL欠損により蓄積する蛋白質を質量分析にて解析して生理的基質の同定を試みる。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Yonashiro, R., Ishido, S., Kyo, S., Fukuda, T., Goto, E., Matsuki, Y., Ohmura-Hoshino, M., Sada, K., Hotta, H., Yamamura, H., Inatome, R., and Yanagi, S.A novel mitochondrial ubiquitin ligase plays a critical role in mitochondrial dynamics. EMBO J. 25(15), 3618-3626 (2006)
- Qin, Q., Inatome, R., Hotta, A., Kojima, M., Yamamura, H., Hirai, H., Yoshizawa, T., Tanaka, H., Fukami, K., and Yanagi, S.A novel GTPase, CRAG, mediates PML-associated nuclear body formation and degradation of expanded polyglutamine protein. J. Cell Biol. 172(4), 497-504 (2006)
- Hotta, A., Inatome, R., Yuasa-Kawada, J., Qin, Q., Yamamura, H., and Yanagi, S.
Critical role of CRMP-associated molecule CRAM for filopodia and growth cone development in neurons.Mol. Biol. Cell 16(1), 32-39 (2005).
ひと言!
ミトコンドリアにおける蛋白質分解の生理的意義についてMITOLの役割に焦点を当てて、研究したいと思います。蛋白質分解については素人ですので、専門家のご意見や場合によっては共同研究をお願いしたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
Web page
http://www.ls.toyaku.ac.jp/Life-Science/lmb-8/index.html
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