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糖鎖認識ユビキチンリガーゼの構造変換に基づくF-boxタンパク質の標的分子探索

写真:吉田雪子

財団法人東京都医学研究機構
東京都臨床医学総合研究所
 先端研究センター 研究員
吉田 雪子

ユビキチン・プロテアソーム系による選択的タンパク質分解は、様々な生体反応において重要な役割を担っている。この系において最も重要な分子は、分解を受けるべく標的タンパク質を見分け、それにタイミング良くユビキチンを連結させる酵素‘ユビキチンリガーゼ’であり膨大な数存在することが知られている。その中で最も良く研究されているファミリーのひとつSCF型リガーゼの基質認識ユニットのF-boxタンパク質はヒトでは約70種存在するが、多くのF-boxタンパク質の標的分子は未知である。私共はこれまでの研究でみつけた糖鎖を認識するF-boxタンパク質Fbs1に特異的に存在するリンカー配列を種々のF-boxに導入することで、そのF-boxタンパク質は細胞の中でSCF複合体を形成せずに安定なものとして存在することを見出した。このことを利用し、機能未知のF-boxタンパク質について標的分子を明らかにしそれらの機能について解明することを目的とする。これまで未知であったF-boxタンパク質の機能を解明することで、ユビキチン依存性タンパク質分解という観点から様々な生命現象を系統立てて明らかにできるものと予想される。本研究では主に糖鎖を認識しないFbx44, Fbx17の基質解析を中心に研究を行うことを計画している。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Yoshida, Y., Murakami, A., Iwai, K., & Tanaka,K.A neural-specific F-box protein Fbs1 functions as a chaperone suppressing glycoprotein aggregation.J. Biol. Chem. 282, 7137-7144, (2007).
  2. Mizushima, T.,Yoshida, Y., Hirao, Kumanomidou, T., Hasegawa, Y., Suzuki,A., Yamane, T., & Tanaka, K.Structural basis for the selection of glycosylated substrates by SCFFbs1 ubiquitin ligase.Proc. Nat. Acad. Sci. U. S. A.104, 5777-5781, (2007)
  3. Yoshida, Y., Chiba, T., Tokunaga, F., Kawasaki, H., Iwai, K., Suzuki, T., Matsuoka, K., Yoshida, M., Tanaka, K. & Tai, T. E3 ubiquitin-ligase that recognizes sugar chains.Nature418, 438-442 (2002)

ひと言!

もともとは糖鎖機能に興味を持っておりましたが、糖鎖を認識するユビキチンリガーゼと出会い、タンパク質分解の分野の仲間入りをさせていただいております。しかし、研究が進むにつれ、このFbs1の生体での機能はユビキチンリガーゼとは全く違う機能がメインなのではないかと思うようになってきてしまいました。これでは非常にめざましい発展を遂げているタンパク質分解の分野からはずれてしまう・・・と、ちょっと焦り、Fbs1の本来の機能解明を進めながらも、そのホモログのF-boxタンパク質(これらはリガーゼのようです)の機能解析を行うことでなんとかタンパク質分解の世界にしがみついているのが現状です。皆さんのお知恵を拝借しながら、タンパク質分解の分野の発展に微力ながらも寄与していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

Web page

http://www.rinshoken.or.jp/MO/

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