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京都産業大学・総合生命科学部・
生命システム学科・助教
千葉 志信
膜で幾重にも区画化された細胞やオルガネラにとって膜を超えた情報伝達を行うことは、その機能維持に非常に重要です。RIP(制御された膜内部での蛋白質分解:Regulated Intramembrane Proteolysis)はストレス応答や細胞分化の過程で「情報の膜透過」を担う分子機構として、様々な生物種に利用されています。その生理機能の重要性に加え、「膜内部での蛋白質分解」という特有の現象は、可溶性プロテアーゼによる蛋白質分解とは異なる様々な課題を我々に提示します。本研究では、大腸菌RIPプロテアーゼRseP(S2Pファミリー)、GlpG(Rhompoidファミリー)およびその枯草菌ホモログ(YluCやYdcAなど)を研究対象とし、生体膜という環境がもたらす独自の諸問題(例えば水分子のアクセスや基質-酵素相互作用における制約など)や、ストレスシグナル感知とそれに呼応した活性制御の問題、新たな生理機能(膜の品質管理)などについて着目し、RIPの生理機能とそれを可能にする分子機構について総合的に理解を深めることを目的としています。具体的には、細胞質膜に異常膜蛋白質が蓄積したときに引き起こされるストレス応答や、蛋白質分泌に伴って膜に蓄積することが予想されるシグナル配列断片の処理におけるRIPの役割などを取り上げ、遺伝学、生化学および構造解析から、その生理機能と分子機構の理解を目指します。
私たちは、蛋白質分解の中でも膜という特殊な環境で起こる蛋白質分解に着目して研究を続けてきました。とくに最近では、膜内での基質切断というユニークな反応を触媒するRIPプロテアーゼに着目して研究を進めております。膜蛋白質分解研究特有の魅力を多くの方と分かち合うことができればと願っております。
http://www.kyoto-su.ac.jp/department/nls/gakka/nm/index.html