神経特異的ユビキチンリガーゼDapによる神経突起のパターン形成制御
(財)大阪バイオサイエンス研究所・神経細胞生物学部門・部長
榎本 和生
私どもは、生きているショウジョウバエ体内における神経突起形成を、発生の時間軸を通して1細胞レベルの高解像度で追跡できる解析システムを確立し、「神経回路の形成・維持・再編」の各ステップを特異的に制御する遺伝子ネットワークの網羅的同定・機能解析を行なっております。その過程において、ニューロン特異的に発現する新規TRIM型ユビキチンリガーゼが、神経軸索突起のパターン形成において重要な働きをしていることを見出しました。さらには、神経回路の再編においても、複数のE3リガーゼが関与することが分かって来ました。本特定班では、ショウジョウバエ神経系をモデルとしてTRIM型ユビキチンリガーゼによる神経回路の形成メカニズムを明らかにするとともに、神経回路制御におけるタンパク質分解系の生理的・病理的意義について明らかにして行きたいと考えています。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Emoto, K., Parrish, J. Z., Jan, L., and Jan, Y. N.: The tumour suppressor Hippo acts with the NDR kinases in dendritic tiling and maintenance. Nature 443: 210-213 (2006).
- Emoto, K., Inadome, H., Kanaho, Y., Narumiya, S., and Umeda, M.: Local change of phospholipid composition at the cleavage furrow is essential for completion of cytokinesis. J. Biol. Chem. 280: 37901-37907 (2005).
- Emoto, K., He, Y., Ye, B., Grueber, W.B., Adler, P. N., Jan, L. Y., and Jan, Y. N.: Control of dendritic branching and tiling by the Tricornered-kinase/Furry signaling pathway in Drosophila sensory neurons. Cell 119: 245-256 (2004).
ひと言!
いったん出来上がった神経回路が維持されるメカニズムや、再編を受けるメカニズムに興味があります。脂質(生体膜)の細胞生物学・生化学も大好きです。タンパク質分解はズブの素人ですので、本研究班においてご専門の方々から多くの事を吸収させて頂けることを楽しみにしております。
Web page
http://www.nig.ac.jp/labs/NeurMorp/EmotoLab2008.htm
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