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奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科
構造生物学講座
教授
箱嶋 敏雄
概要
SCFユビキチンリガーゼを介した細胞内タンパク質の分解による細胞制御は多岐に渡っており、分解シグナル(degron)の活性化や認識も多様であることが明らかになりつつある。本研究では、申請者等が最近になって提唱した「ユビキチン化シャペロン」を介したF-boxタンパク質による新しい分解シグナルの認識機構のタンパク化学的・構造生物学的解析を進める。
計画
タンパク質精製と結晶化: GID1やDELLAタンパク質のDELLAドメイン調製には実績があるので、これらを参考にして発現系等を工夫して、F-boxタンパク質のSLY1やDELLAタンパク質GAIやRGAの全長タンパク質を十分に高度に精製された試料を得る。結晶化はロボット(現有HYDRA-II)を利用した微量(0.3μl)結晶化法で大規模スクリーニングを効率よく進める。現有のBIAcoreやITC等を用いた結合実験により、degron領域やdegron認識部位の特定や結晶化に供するタンパク質試料のコンストラクトを検討する。結晶化の結果が思わしくない場合には、他のDELLAタンパク質RGL1, RGL2, RGL3や、GID1Aのホモログ(GID1BやGID1C)も試みる。
構造解析と機能解析: SPring-8での放射光実験によるX線強度データ収集と、MAD法と分子置換法による構造解析を予定している。構造特性解析では、得られた構造に基づいて、点変異実験を組み合わせた機能解析により、特異性を決定している相互作用とアミノ酸残基を特定する。
LLRとWD40以外のdegron認識に迫れるか。