ユビキチンリガーゼの多様性の解析 (分担者)
北海道大学 大学院医学研究科
医学専攻生化学講座医化学分野
教授
畠山 鎮次
TRIM/RBCCファミリータンパク質(TRIM タンパク質)を網羅的に解析し、ユビキチン化される基質タンパク質の同定および分子論的解明を行う。現在までのところ、約22種類のTRIMタンパク質のcDNA をクローニングし、その生化学的解析を進め、いくつかのTRIM タンパク質においては酵母ツーハイブリッド法、及び質量分析器を使用したプルダウン法により相互作用タンパク質(基質タンパク質の候補)を同定している。TRIM25とTRIM68はそれぞれエストロゲン受容体およびアンドロゲン受容体の活性化に関与し、TRIM21 はB 細胞における抗体産生の際のタンパク質品質管理に関与していることを見いだしている。また、TRIM32はAbl関連分子Abi2のユビキチン化依存性分解に関与し、その発現レベルが頭頸部癌の悪性度と相関関係があることが判明した。その他にも、転写因子(核内受容体)の活性化やクロマチンリモデリングの制御に,多くのTRIM タンパク質が関与している知見が出ており,今後、疾患解明や治療的応用に有効な情報を得ることが期待できる。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Miyajima, N., Maruyama, S., Nonomura, K., *Hatakeyama, S.: TRIM36 interacts with the kinetochore protein CENP-H and delays cell cycle progression. Biochem. Biophys. Res. Commun. 381, 383-387 (2009)
- Kano, S., Miyajima, N., Fukuda, S., *Hatakeyama, S.: TRIM32 facilitates cell growth and migration via degradation of Abl-interactor 2, Cancer Res. 68, 5572-5580 (2008)
- Miyajima, N., Maruyama, S., Bohgaki, M., Kano, S., Shigemura, M., Shinohara, N., Nonomura, K., *Hatakeyama, S.: TRIM68 regulates ligand-dependent transcription of androgen receptor in prostate cancer cells. Cancer Res. 68, 3486-3494 (2008)
ひと言!
分野や方法論が異なる研究者の交流により,この領域が発展することを望んでおります。我々は哺乳類(医学?)を中心にユビキチン化システムを解析していますが、最近では、無脊椎動物(多細胞生物ですが)のユビキチンシステムにも手を出しており、生物全体におけるタンパク質分解とタンパク質翻訳御修飾の解明に挑戦できればと思っております。
Web page
http://www.med.hokudai.ac.jp/~bio-2w/index.html
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