ユビキチン系による選択的基質識別メカニズム
大阪大学
大学院生命機能研究科・代謝調節学
大学院医学研究科・医化学
教授
岩井 一宏
ユビキチン依存性タンパク質分解系はE3:ユビキチンリガーゼが選択的に識別するタンパク質に付加されるポリユビキチン鎖を、26Sプロテアソームが識別して基質タンパク質を分解に至らしめる細胞内タンパク質分解系である。ユビキチン・プロテアソーム系の基質特異性は、選択的な基質に対するポリユビキチン付加機構とプロテアソームによるポリユビキチン鎖の認識によって決定される。ユビキチン系はポリユビキチン鎖付加を時空間的に制御してタンパク質を選択的にユビキチン化することで、シグナル伝達・代謝制御・細胞周期などの多彩な細胞機能現象の制御系として機能し得る。
本研究では我々が明らかにしてきたVBC-Cul2リガーゼ等をモデル系として、E3による選択的基質識別機構や基質識別によるE3の活性化メカニズム、それに引き続くプロテアソームへのユビキチン化タンパク質の輸送、プロテアソームによる識別など、ユビキチン化からプロテアソーム分解に至る過程の解析を進める。ポリユビキチン鎖生成メカニズムに関しては我々が新たに見出したN末端のメチオニンを介した直鎖状ポリユビキチン鎖を形成するLUBACユビキチンリガーゼをモデル系にして解析を進める。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Tokunaga, F., Sakata, S.-I., Saeki, Y., Satomi, Y., Kirisako, T., Kamei, K., Nakagawa, T., Kato, M., Murata, S., Yamaoka, S., Yamamoto, M., Akira, S., Takao, T., Tanaka, K. and Iwai, K. Involvement of linear polyubiquitination of NEMO in NF-kB activation. Nature Cell Biology 11:123-132, 2009.
- Miyauchi, Y., Kato, M., Tokunaga, F., and Iwai, K. The COP9/signalosome increases the efficiency of pVHL ubiquitin ligase–mediated hypoxia inducible factor-a ubiquitination. J. Biol. Chem. 283:16622-16631, 2008.
- Sakata, E., Yamaguchi, Y., Miyauchi, Y., Iwai, K., Chiba, T., Saeki, Y., Matsuda, N., Tanaka, K. and Kato, K. Direct interactions between Nedd8 and ubiquitin E2 conjugating enzymes contribute to up-regulation of cullin-based E3 ligase activity. Nature Struct. Mol. Biol. 14:167-168, 2007.
ひと言!
この特定領域ではオートファジーに押され気味ですが、ユビキチンの研究者もがんばって、班を盛り上げていきたいと思っています。
Web page
http://www.cellbio.med.osaka-u.ac.jp/index.htm
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