細胞膜タンパク質の分解とその調節の分子機構
東京工業大学
大学院生命理工学研究科
細胞生物学分野
准教授
駒田 雅之
増殖因子により活性化された増殖因子受容体は細胞表面からエンドサイトーシスされ、エンドソームを経由してリソソームに運ばれて分解される。増殖因子受容体は活性化に伴ってユビキチン化され、この修飾がリソソームへ輸送されるための選別シグナルとして働いている。エンドソーム膜上において、ユビキチン化された増殖因子受容体はユビキチン結合タンパク質複合体Hrs-STAMによって選別される。私達は、Hrs-STAM複合体と相互作用する脱ユビキチン化酵素UBPYとAMSHの機能解析を行っており、UBPYが増殖因子受容体を脱ユビキチン化して“リソソームへの選別輸送シグナル”を外すことにより、そのリソソームでの分解を負に調節すること、さらに同様の分解調節機構が他のタイプの細胞膜タンパク質にも存在することを見出してきた。このことは、ユビキチン化と脱ユビキチン化のバランスが細胞膜タンパク質の分解レベルを制御する普遍的メカニズムであることを示唆している。本研究では、ユビキチン化された様々な細胞膜タンパク質のリソソームへの輸送におけるエンドソームでの選別機構と脱ユビキチン化によるその負の調節機構を解析し、細胞膜タンパク質の調節性分解の制御メカニズムを解明する。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Endo A., Matsumoto M., Inada T., Yamamoto A., Nakayama K.I., Kitamura N., Komada M.: Nucleolar structure and function are regulated by the deubiquitylating enzyme USP36. J. Cell Sci. 122, 678-686 (2009) (chosen as the cover of the issue)
- Mukai A., Mizuno E., Kobayashi K., Matsumoto M., Nakayama K.I., Kitamura N., Komada M.: Dynamic regulation of ubiquitylation and deubiquitylation at the central spindle during cytokinesis. J. Cell Sci. 121, 1325-1333 (2008)
- Sato Y., Yoshikawa A., Yamagata A., Mimura H., Yamashita M., Ookata K., Nureki O., Iwai K., Komada M., Fukai S.: Structural basis for selective cleavage of Lys63-linked polyubiquitin chains. Nature (Article) 455, 358-362 (2008)
ひと言!
必ずしも細胞膜タンパク質にこだわらず、タンパク質の脱ユビキチン化による様々な細胞機能の制御機構を解明したい。特に病態との関連を意識し、将来的に脱ユビキチン化酵素を標的とした創薬に結びつけられれば、と思っています。
Web page
http://www.kitamura-komada-lab.bio.titech.ac.jp/
▲このページの先頭へ