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オートファジーアクセサリー分子群の遺伝学的機能解析

写真:小松雅明

財団法人東京都医学研究機構
東京都臨床医学総合研究所
先端研究センター
副参事研究員
小松 雅明

これまでオートファジーは、自己分解によるアミノ酸供給が主な役割であり、実際、栄養飢餓などで激しく誘導されることが知られていたが、マウス遺伝学を駆使した我々の動物オートファジーの発生工学的研究から、恒常的に起こっているオートファジーの積極的な特異的タンパク質の処理機構が生体の恒常性維持・管理に重要であり、その破綻が様々なヒト疾病の発症原因となることが判明した。一方、オートファジーの減弱による病態発症機構は不明であったが、ごく最近申請者らは、そのプロセスにおいて中心的な役割を担っている分子群としてp62、Alfy、Nbr1の同定に成功した。この分子群は高等動物にのみ存在し、オートファゴソーム局在タンパク質LC3との相互作用を介してオートファジーによりその存在量が規定される。興味深いことに、これらの分子はユビキチン結合能を持ち、神経変性疾患、肝臓病、癌で確認されるユビキチン陽性封入体の構成成分でもある。本研究ではp62、Alfy、Nbr1(オートファジーアクセサリー分子群と命名)の構造・分子から個体レベルの研究を包括的に推進し、これら分子のモニター系の確立およびその代謝制御機構の解明により、難治疾患の発症予防・治療方法の確立を目指す。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Kirkin, V., Lamark, T., Sou, YS., Bjørkøy, G., Nunn, JL., Bruun, JA., Shvets, E., McEwan, DG., Clausen, TH., Wild, P., Bilusic, I., Theurillat, JP., Øvervatn, A., Ishii, T., Elazar, Z., Komatsu, M., Dikic, I. and Johansen, T. A role for NBR1 in autophagosomal degradation of ubiquitinated substrates. Mol. Cell, 33: 505-16 (2009)
  2. Komatsu, M., Waguri, S., Koike, M., Sou, Y.S., Ueno, T., Hara, T., Mizushima, N., Iwata, J.I., Ezaki, J., Murata, S., Hamazaki, J., Nishito, Y., Iemura, S., Natsume, T., Yanagawa, T., Uwayama, J., Warabi, E., Yoshida, H., Ishii, T., Kobayashi, A., Yamamoto, M., Yue, Z., Uchiyama, Y., Kominami, E. and Tanaka, K. Homeostatic levels of p62 control cytoplasmic inclusion body formation in autophagy-deficient mice. Cell, 131:1149-63 (2007)
  3. Komatsu, M., Waguri, S., Chiba, T., Murata, S., Iwata, J.I., Tanida, I., Ueno, T., Koike, M., Uchiyama, Y., Kominami, E., and Tanaka, K. Loss of autophagy in the central nervous system causes neurodegeneration. Nature, 441:880-884 (2006)

ひと言!

出戻りです。よろしくお願い致します。本研究では、多細胞生物から出現したオートファジー関連分子の解析を進めていきます。私共はマウスを中心に研究を行っておりますが、線虫やハエでの解析を共同研究して頂ける方がいらっしゃれば嬉しいです。

Web page

http://www.rinshoken.or.jp/MO/index.html

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