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病原体センサーによるオートファジー誘導機構の解明

写真:倉永英里奈

東北大学
大学院薬学研究科
生命機能解析学分野
教授
倉田 祥一朗

オートファジーは、飢餓時などの際に、恒常性維持のために誘導される細胞内分解系であるが、近年、自己由来成分凝集体や、細胞内寄生細菌などの排除に重要な役割を担うことが明らかにされ、注目されている。ペプチドグリカン認識蛋白質(PGRP)-LE は、研究代表者が同定したショウジョウバエの自然免疫系で機能する病原体センサーであり、これまでにオートファジーを誘導することが示されている唯一の病原体センサーである。本研究では、細胞内分解系であるオートファジーが、病原体センサーにより、特異的に誘導される分子機構を明らかにするために、PGRP-LE に結合し、オートファジー誘導に関わるアダプター因子を同定する。これまでに、PGRP-LE の発現していないショウジョウバエマクロファージ様細胞 S2 細胞に、PGRP-LE を発現させると、PGRP-LE 依存にオートファジーが誘導され、細胞内寄生細菌であるリステリア菌が排除されることが示されている。そこで、タグ付きのPGRP-LEをS2細胞で発現し、PGRP-LEに結合する因子を、タグに対する抗体、あるいはPGRP-LEに対するモノクローナル抗体で共免疫沈降を行う。加えて、これまでオートファジー誘導に関わることが示されている p62 タンパク質が、細胞内寄生細菌の排除に関わるのかどうか明らかにする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Yano, T., Mita, S., Ohmori, H., Oshima, Y., Fujimoto, Y., Ueda, R., Takada, H., Goldman, W. E., Fukase, K., Silverman, N., Yoshimori, T., Kurata, S.: Autophagic control of Listeria through intracellular innate immune recognition in Drosophila. Nature Immunol. 9, 908-916, 2008.
  2. Yano, T., and Kurata, S.: Induction of Autophagy via Innate Bacterial Recognition. Autophagy, 4, 958-960, 2008.
  3. Kaneko, T., Yano, T., Aggarwal, K., Lim, J-H., Ueda, K., Oshima, Y., Peach, C., Erturk-Hasdemir, D., Goldman, W. E., Oh, B-H., Kurata, S., and Silverman, N.: PGRP-LC and PGRP-LE play essential yet distinct roles in the drosophila immune response to monomeric DAP-type peptidoglycan. Nature Immunol. 7, 715-723, 2006.

Web page

http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seimei/seimei_original.html

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