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オートファゴソーム形成の素過程:初期と終期の解析

写真:野田健司

大阪大学
大学院生命機能研究科 細胞内膜動態研究室
准教授
野田 健司

オートファジーは主要な細胞内分解機構の一つであり、オートファゴソームと呼ばれる新規の膜構造が分解基質を包みながら形成され、それがリソソーム・液胞へと輸送されることで分解が起こる。私はこれまでオートファゴソームが形成される分子機構を解析しており、最近、オートファゴソーム形成においてユビキチン様反応におけるE3様機能の発見、LC3の役割の発見、PI3P制御機構の解析などの成果を得た。本研究課題ではそれらを発展的に深化させることを骨子とし、オートファゴソーム形成を初期、進展期、終期の三段階に分け、そのうち初期と終期反応の素過程を解析することを目的とする。これまでに初期反応にPI3PおよびAtg14LおよびAtg16Lが深く関与することを見いだしており、それらの機能を詳細に解析することで、これまで未知であったオートファゴソーム形成の最もはじめに何が起こるのかという問題にアプローチする。またオートファゴソームが最終的に閉じる直前の変異体の同定に成功しており、この変異体を条件誘導的変異体へと改変することにより、オートファゴソームが閉じるときの分子機構および膜の超微細構造のダイナミクスについて解析する。動物細胞で得られたモデルを酵母細胞でも検証し、その普遍性を議論する。これらの研究によりオートファジーの細胞生物学の基礎的な知見を得ることに加え、クローン病などオートファジーが関連する疾病対策への知的基盤を提供することを目指す。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Two Beclin 1-binding proteins, Atg14L and Rubicon, reciprocally regulate autophagy at different stages. Kohichi Matsunaga, Tatsuya Saitoh, Keisuke Tabata, Hiroko Omori, Takashi Satoh, Ikuko Maejima, Kanae Shirahama-Noda, Tohru Ichimura, Toshiaki Isobe, Shizuo Akira, Takeshi Noda & Tamotsu Yoshimori, Nature Cell Biology 11, 385 - 396, 2009
  2. The Atg16L complex specifies the site of LC3 lipidation for membrane biogenesis in autophagy. Naonobu Fujita, Takashi Itoh Hiroko Omori, Mitsunori Fukuda, Takeshi Noda and Tamotsu Yoshimori. Mol. Biol. Cell 19/5, 2092-2100, 2008
  3. Transport of phosphatidylinositol 3-phosphate into the vacuole via autophagic membranes in Saccharomyces cerevisiae. Keisuke Obara*, Takeshi Noda*, Kaori Niimi Yoshinori Ohsumi, Genes Cells 13/6, 537-547, 2008.

ひと言!

最近オートファジーの検出法や阻害法などを開発しております。本研究領域の先生方にご利用いただけますと、有り難く存じます。

Web page

http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/yoshimori/jp/member/post-2/

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