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熊本大学
生命資源研究・支援センター
表現型クリニック分野
特任助教
大村谷 昌樹
トリプシノーゲンの異所性(膵内)活性化(トリプシン生成)にひきつづいて生じる連鎖的な諸プロテアーゼの活性化によって、膵の構成細胞が自己消化されるに至るという機構が,膵炎の主要な発症機構と考えられている。我々が樹立したserine protease inhibitor Kazal type3 (Spink3、ヒトホモログはSPINK1)の膵臓の外分泌細胞(腺房細胞)で過剰に誘導されるオートファジーの役割を解析する目的で、膵臓腺房細胞で特異的にオートファジーが欠失するマウス(膵腺胞細胞特異的Atg5 KOマウス)を作製した。このマウスは生理的条件下では異常は示さないが、コレシストキニンアナログのセルレインで膵炎刺激を誘導すると、抵抗性を示した。さらに単離した膵腺房細胞に細胞内トリプシン活性化刺激を加えると、トリプシンの活性化がほとんど検出されないことが判明した。このことは腺房細胞内トリプシン活性化、つまり、膵炎発症機構にオートファジーが重要な役割を担っていることを示している。しかし急性膵炎発症にかかわるオートファジーの制御機構は明らかではない。本研究では、急性膵炎におけるオートファジー誘導のメカニズム、特に膵炎発症の抑制に重要な役割を担っているSpink3によるオートファジーの制御機構を中心に解析を行う予定である。
膵臓の大部分は外分泌系ですが、(残念ながら)膵臓研究の多くは内分泌系に偏っています。近年著しく解明されつつあるオートファジーに便乗させていただき、膵炎の理解が深まることを期待しています。また将来的に膵炎の治療に結びつくような研究を進めていきたいと考えています。
http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/divisions/developmental_genetics/index.html