> サイトマップ
東京大学
分子細胞生物学研究所
核内情報研究分野
助教
大竹 史明
ユビキチン・プロテアソーム系は主要なタンパク質分解経路の一つであり、ユビキチンE3リガーゼによる選択的な基質認識を特色としている。しかしながら、細胞内外からのシグナルに応じてユビキチンリガーゼによる基質認識能が制御される機構は不明な点が多い。 我々はリガンド依存性転写制御因子であるダイオキシン受容体(AhR)を含む新規複合体CUL4BAhRを同定した。CUL4BAhRはAhRのリガンド結合依存的にユビキチンリガーゼ活性を発揮した。
このような、転写因子が発揮するE3ユビキチンリガーゼ活性の普遍性と、生物学的意義の解明のため、核内受容体に着目した。すなわち、核内受容体をモデルとして、リガンド依存性ユビキチンリガーゼの性状解析により、脂溶性リガンドの生理作用発揮におけるシグナル伝達経路として核内受容体の蛋白質分解制御を介した作用経路解明を試みる。
これまでに、転写因子が形成するE3ユビキチンリガーゼの普遍性を検討するため、核内受容体群のユビキチンリガーゼ活性を探索した。複数の核内受容体が、脂溶性ホルモン・ビタミン依存的なE3活性を有することを見出した。また、ある種の受容体のE3活性は、細胞周期特異的に発揮されることが明らかとなった。蛋白質複合体を精製した結果、細胞周期特異的なE3活性スイッチ機構の一端が明らかとなってきた。そこで、古くから知られる脂溶性ホルモンの「転写非依存的作用経路(ノン・ゲノミック経路)」がE3活性を介する可能性について解明を試みる。
転写調節と蛋白質分解との相互連関の観点で、専門である生化学・エピジェネティクス研究手法も活かして、取り組んで行きたいと考えております。宜しくお願いします。