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徳島大学
疾患ゲノム研究センター
生体機能分野
教授
親泊 政一
小胞体ストレス応答の破綻により小胞体に蓄積する異常タンパク質は、さまざまな疾患の原因として注目されている。我々はこれまでに小胞体ストレスによる異常タンパク質が膵β細胞死を引き起こし、糖尿病発症の原因となることを報告してきた(J Clin Invest. (2002) 109: 525-532, Proc Natl Acad Sci USA. (2001) 98: 10845-10850)。また最近では小胞体ストレスにおける新たな異常タンパク質の分解系(Cell (2006) 126, 727-739)や小胞体ストレス応答による代謝制御機構(Cell Metabolism (2008) 7: 520-532)も見出した。小胞体での異常タンパク質は糖鎖構造の違いにより選別されることが明らかになっているが、インスリンなどのように糖鎖付加を受けずジスルフィド結合形成不全による異常タンパク質の選別分解機構については不明な点が多い。またインスリンと同様に膵β細胞から分泌されるアミリンの蓄積は2型糖尿病の大半で認められるが、その病的意義についてはよくわかっていない。本研究では、ジスルフィド結合形成不全による異常タンパク質の分解やアミリンの分解に関わる因子の網羅的な検索をおこない、最終的にはマウスを用いた個体解析を加えて、分解制御の新たな分子機構の解明と糖尿病発症におけるタンパク質分解系の意義の解明を目指す。
糖尿病発症の原因である膵β細胞機能不全に興味をもって研究を始めました。インスリンを合成する小胞体の障害(異常タンパク質の蓄積)がインスリン分泌細胞である膵β細胞の生死を左右することを見出してから小胞体ストレスの研究にのめり込んでいます。小胞体でのタンパク質分解システムとその破綻が生体機能にどのように影響するかは大変興味深いテーマと考えており、本研究ですこしでもその解明に近づきたいと思っています。