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名古屋大学
大学院理学研究科
附属臨海実験所
発生生化学講座
教授・所長
澤田 均
生物にとって種を保存することは最も重要な使命である。種を保存するために、地球上の多くの生物は有性生殖という手段を利用し、子孫に遺伝子構成の多様性を生み出してきた。この有性生殖の要となるプロセスが受精である。本研究では、受精に関わる精子プロテアーゼの機能を解明することを目的としている。特に、精子が卵黄膜(細胞外マトリクス)を通過する際に、精子由来の酵素が卵黄膜タンパク質を細胞外でユビキチン化し、それを精子プロテアソームが細胞外で分解することを、マボヤ(原索動物)を用いて明らかにしているので、その詳細について解析する。当初、この現象はホヤの受精に限られるものと考えていたが、その後、哺乳類においても同様の現象があることが報告された。我々は、その一般性を知る目的で、ウニを用いて解析し、ウニにおいても精子プロテアソームが精子の卵黄膜通過と先体反応に関わることを見いだした。本研究では、受精に関与する新しい細胞外ユビキチン-プロテアソームシステム(UPS)の全容を解明することを目指すとともに、UPSを構成する巨大分子集合体を先体胞や細胞外に輸送する新しいシステムの解明をも目指す。細胞外で機能するUPSの研究は始まったばかりであるが、最近受精以外でも細胞外UPSの重要性が指摘されつつある。こうした細胞外UPSに関する研究を、一つの新しい潮流にしていきたいと思っている。
一昨年、鳥羽の戸田屋で開かれた班会議では、水島領域長を初め大勢の皆様が当菅島臨海実験所にお越し下さり、ありがとうございました。戸田屋の桟橋から出航した船にカモメがついて来てくれたりして、とても楽しい思い出となりました。自宅から船で班会議場の旅館に行き来できるというのも貴重な経験でした。班員の皆様、伊勢鳥羽志摩にお越しの際には、是非また菅島臨海実験所にお立ち寄り下さい。