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東京大学
大学院薬学系研究科
臨床薬学教室 准教授
富田 泰輔
近年、通常であれば疎水性環境に存在する膜貫通領域を加水分解する膜内配列切断酵素の存在が明らかとなった。そのひとつであるγセクレターゼは、アルツハイマー病発症に関わるAβ産生を遂行するプロテアーゼとして研究がすすめられ、現在ではNotchなど様々な一回膜貫通型タンパク質を基質とすること、さらにこれら基質がγセクレターゼによる切断を通じて膜タンパク質分解依存性シグナル伝達を行うことが明らかとなっている。したがって単純なγセクレターゼ阻害は副作用が懸念されている。γセクレターゼはプレセニリン、ニカストリン、Aph-1、Pen-2の4つの膜タンパク質を基本構成因子とする膜タンパク質複合体である。しかしこれまでの研究から、γセクレターゼは細胞内局在の違いによって基質特異性や切断活性が異なることが示されている。すなわち、プロテアソームのように、γセクレターゼにはなんらかの「制御因子」が一過性ないし構成性に結合し、異なる酵素活性を発揮すると考えられている。本研究においては、特にγセクレターゼの膜マイクロドメインへの局在化による活性制御機構とその分子機構を明らかにし、最終的には低分子化合物を用いたγセクレターゼの特異的活性制御法、ひいては副作用のないアルツハイマー病治療薬開発を目指す。
「膜タンパク質の膜タンパク質による膜タンパク質のための膜内配列分解」を標榜して研究しています。膜タンパク質生化学は奥が深く、面白いです。膜貫通領域が多いほど、萌えます。