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オートファジーのダイナミクスと生理的意義の解析
(分担者)

写真:上野隆

順天堂大学 医学部
生化学第一講座 先任准教授
上野 隆

1.オートファジーの選択的基質認識機構の解明
  p62に代表される選択的オートファジー基質は、LC3と特異的に結合するモチーフであるLRSを介してオートファゴソーム膜上のLC3に誘導されながらオートファゴソームの内腔に取り込まれると考えられる。LRSを持つタンパクは他にも存在することが推定され、このような基質を発見・同定することは選択的オートファジーの分子機構を明らかにする上で重要である。また、LRSはAtg8のホモログであるGABARAPやGATE-16の認識にも与っており、哺乳動物の3つのホモログの役割分担という意味からも、基質との親和性を明らかにすることが必要である。
 2.誘導レベルオートファジーの代謝的寄与の解明
  絶食させた野生型マウスに強制的に食餌を与えた後再び絶食させ、マウスに同期的なオートファジーを起こさせることによって肝臓のアミノ酸濃度が一過的に上昇し、これが血漿や筋肉に運ばれることを見出した。肝臓特異的なAtg7欠損マウスではこの応答が見られないことから、オートファジーで生成したアミノ酸の代謝的運命を解析する実験モデルとなる。生成したアミノ酸の一部が糖新生を経て血糖を維持することに貢献していることを示すデータが得られているが、さらに定量的な解析によって誘導的オートファジーの代謝的寄与を明らかにする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Ichimura Y, Kumanomidou T, Sou YS, Mizushima T, Ezaki J, Ueno T, Kominami E, Yamane T, Tanaka K, Komatsu M: Structural basis for sorting mechanism of p62 in selective autophagy. J Biol Chem 283 (33): 22847-22857, 2008
  2. Matsumoto N, Ezaki J, Komatsu M, Takahashi K, Mineki R, Taka H, Kikkawa M, Fujimura T, Takeda-Ezaki M, Ueno T, Tanaka K, Kominami E: Comprehensive proteomics analysis of autophagy-deficient mouse liver. Biochem Biophys Res Commun 368 (3) 643-639, 2008
  3. Ebato C, Uchida T, Arakawa M, Komatsu M, Ueno T, Komiya K, Azuma K, Hirose T, Tanaka K, Kominami E, Kawamori R, Fujitani Y, Watada H: Autophagy is important in islet homeostasis and compensatory increase of beta cell mass in response to high-fat diet. Cell Metab 8 (4) 325-332, 2008

ひと言!

年齢相応以上に物忘れがひどく感じられるこの頃です。実験データを整理しようとして何の実験だったか思い出すのが困難になり、やっと整理が終わってホッとして2,3日すると整理したことを忘れるという体たらく。職場の会議や書類書きの雑用に追いまくられているから、という言い訳が通らなくなりました。大脳の基底レベルのオートファジーがどんどん低下しているのを感じます。p62がどんどん溜まっているかも?

Web page

http://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/seikagaku_saibo_seigyo/index.html

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