DNAヘリカーゼ活性を含有するユビキチンリガーゼE3
財団法人国立遺伝学研究所
分子遺伝研究系
変異遺伝部門 教授
山尾 文明
F-タンパク質であるFbh1はSCFユビキチンリガーゼE3の構成要素としてのF-BoxモチーフとDNAヘリケースドメインとその酵素活性を有し、F-BoxDNAヘリケースと称している。オーセンティックなF-タンパク質はSkp1との結合に必要なF-Boxモチーフとユビキチン化基質認識に必要なタンパク質ータンパク質相互作用のモチーフを有するが、Fbh1タンパク質には後者は見いださない。その代わりDNAヘリケースドメインが存在する。Fbh1を含むSCFリガーゼのE3としての活性も確認できる。従って、このリガーゼの基質認識機構は従来のSCFリガーゼとは異なり、基質が何であるかとともに興味深い。
分裂酵母Fbh1の変異の表現型からはDNA損傷に対する組換え修復に関わると思われ、実際にin vitro相同組換え反応系において複数のステップで正あるいは負に相同組み換えを制御した。ユビキチン化基質はDNA相同組換えを制御するタンパク質ではないかと仮定し候補精製し、直接in vitroのユビキチン化で検索したところ、Rhp51(Rad51ホモログ)がモノユビキチン化された。 ユビキチン系が関わる第3の損傷DNA修復の径路として期待できる。そこでFbh1を含むSCFリガーゼの細胞内基質同定とその認識機構、ユビキチン化の様式とそれらのDNA相同組換え機構との関連を解析することをこの課題の目的とする。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- A DNA Polymerase α Accessory Protein, Mcl1, Is Requiredfor Propagation of Centromere Structures in FissionYeast, T. Natsume, Y. Tsutsui, T. Sutani, E. M. Dunleavy, A. L. Pidoux, H. Iwasaki, K. Shirahige, R. C. Allshire, F. Yamao, Plos One. 3(5), e2221 (2008).
- Fission Yeast Swi5/Sfr1 and Rhp55/Rhp57 Deferentially Regulate Rhp51-dependent Recombination outcomes, Y. Akamatsu, Y. Tsutsui, T. Morishita, MD Shahjahan P Siddique, Y. Kurokawa, M. Ikeguchi, F. Yamao, B. Arcangioli, and H. Iwasaki, EMBO J. 26, 0352-1362 (2007).
- Genetic and Physical Interactions between Schizosaccharomyces pombe Mcl1 and Rad2, Dna2 and DNA polymerase α: Evidence for a Multi- functional Role of Mcl1 in DNA Replication and Repair, Y. Tsutsui, T. Morishita1, T. Natsume, K. Yamashita1, H. Iwasaki, F. Yamao, and H. Shinagawa, Curr. Genet. 48, 34-43 (2005).
ひと言!
久しぶりに懐かしい方々にお会いできるのを楽しみにしています。
Web page
http://www.nig.ac.jp/section/yamao/yamao-j.html
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